自意識過剰
学術の訳語が自意識なので、この尺度は自意識過剰と地続きに見えます。けれども自意識過剰は、周りはそこまで見ていないのに見られていると思い込む人への評価で、話の中心は思い違いのほうです。ここで測るのは視線がどれだけこたえるかだけで、その量を正しく見積もれているかを尋ねる文は一つもありません。
10の文が尋ねるのは、人に見られながら作業する場面、集団の真ん中に置かれる場面、そしてささいな失敗のあとに残る気まずさです。人によって分かれるのは、見ている相手に気づくかどうかではありません。気づいたあと、その視線が頭のどれだけを占めるかのほうです。
このファセットが神経症傾向に置かれているのは、測っているものが感情の反応だからです。恥ずかしさと、その一歩手前の身構え。因子の内側で近いのは傷つきやすさの0.62と不安の0.61です。ところが、この尺度でいちばん強い一本は因子の外へ、しかも逆向きに伸びます。自己主張とはマイナス0.68で、435組あるファセットの組のなかでもっとも反対を向いています。
点数が描くのは平常の高さで、特定の場面ではありません。静まり返った部屋がいっせいにこちらを向けば、たいていの人は動じます。このファセットが扱うのは、そのあと戻っていく高さと、そもそも日常のどれだけの場面にその味が付いているかです。
日本語では内気、人見知り、恥ずかしがりといった言い方がこの領域に重なります。学術の訳語では自意識、古い研究では他者からの評価への恐れという名前で、同じものが扱われてきました。文言のもとはジョンソンが公開したIPIPの項目プールです。
日常の日本語には、この尺度のすぐ隣に立つ言い方がいくつもあります。どれと取り違えるかで同じ数字の読み方が変わるので、先に三つだけ切り分けておきます。
学術の訳語が自意識なので、この尺度は自意識過剰と地続きに見えます。けれども自意識過剰は、周りはそこまで見ていないのに見られていると思い込む人への評価で、話の中心は思い違いのほうです。ここで測るのは視線がどれだけこたえるかだけで、その量を正しく見積もれているかを尋ねる文は一つもありません。
高い点数は気質の説明であって、分類の名前ではありません。障害かどうかを分けるのは、避けることで日常が何か月にわたってどれだけ削られたかで、それを見るのは本人と話す専門家です。質問紙は何も判定しません。この尺度の上のほうにいながら、人前に出る仕事を続けている人はいくらでもいます。
この二つは0.46で連れ立って動きますが、答えている問いが違います。謙虚さが決めるのは、自分を人より上に置くかどうか。こちらが決めるのは、注目の下に座っていられるかどうかです。作ったものをほめられて心から嬉しいのに、それが20人の前で言われた瞬間に床が抜けてほしくなる、ということは起こります。
良いほうの端はありません。片方は部屋の空気に注意の半分を置き、その代金を払います。もう片方は部屋を突っ切って歩き、そこにあったものを取り落とします。
見られているあいだ、注意の一部は見ている側へ回り、その分は目の前の作業に使えません。言葉がどう届くかを確かめてから出すので、人前で誰かを裸にしてしまうことはまずありません。請求はためらいの形で届きます。会議の最中に出せたはずの質問が、廊下で出てくるのです。
評価の視線を強く感じる。人前では言葉が縮み、あとから「あの言い方でよかったか」を何度も点検してしまう。
他人の注目はただの情報で、見られること自体には値段がつきません。百人の前でも、当たり前の質問を先に測らずに出せます。死角にあるのは他人の居心地です。名指しされて縮こまった同僚や、話しているあいだに固くなった空気には、手が届きません。
人にどう見られるかを、あまり気にしない。失敗しても、恥ずかしさより次の一手のほうが早く来る。
十人に四人ほどが中間帯に入ります。注目は届くけれども抱えられる重さで、発表の最初の一分には値段がつき、二分目には安くなります。恥ずかしい出来事は刺さり、そこで終わります。
低い・平均・高いの三つは、ジョンソンの30/40/30というパーセンタイル分けによる区切りで、臨床の基準ではありません。読み取っているのは注目がどう感じられるかという本人の言葉で、外からどう見えているかではありません。
十の回答の合計が素点なので、10点から50点までを動きます。下の曲線は300項目版を最後まで終えた135,947件から描いたもので、中心は29点、尺度の真ん中よりわずかに下にあります。
| パーセンタイル | 素点 |
|---|---|
| 10 | 20 |
| 25 | 24 |
| 50 | 30 |
| 75 | 35 |
| 90 | 40 |
全体の半分は23点から34点に入ります。素点の29点は、男性では54パーセンタイル、女性では47パーセンタイルにあたります。同じ数字が性別で位置を変えるので、比べる相手は自分と同じ性別と年代の集団になります。ここに並ぶのは、自分から性格の質問紙を開いた人たちです。
神経症傾向の六つのうち、男女がこれほど近いファセットは、ほかに一つしかありません。
女性の平均は29.8点、男性は28.3点で、40点幅のなかでの差は1.5点です。この因子でこれより男女が近いのは落ち込みやすさだけでした。年齢は二本の線を同じ向きへ動かします。男性は21歳未満の29.1点から60歳を超える25.5点へ、女性は30.3点から26.4点へ。ただし最後の区画にいるのは男女それぞれ250人ほどで、いちばん端の一歩だけは足場が細くなります。
神経症傾向は六つの別々のものの集まりで、そのうち他人のほうを向いているのがこの尺度です。因子の内側では傷つきやすさに0.62、不安に0.61、落ち込みやすさに0.58で寄りかかります。ところが435組のうち負の向きが強い十組には四組も入り、その三組の相手は外向性のファセットです。
職場でこの特性が住んでいるのは、何かを持っていることと、それを口に出すことのあいだです。高い人は仕事が求める以上に準備を重ね、いい質問を会議のあとの廊下で出し、周りの面目には気を配ります。低い人は早い段階で手を挙げ、静かな同僚の上を、場が固くなったことに気づかずに通り過ぎます。
一対一になると、高い人はまるで別人であることがよくあります。こたえているのは人といること自体ではなく見られていることなので、相手が一人なら最後まで開きます。疲れ方が変わるのは、同じ夜の集団版のほうです。低い人は一緒にいて楽で、隣の人が静かに恥をかいていることを見落とします。
動く場所は、決意よりも反復のほうにあります。この感じ方は場面ごとに慣れですり減っていくので、二度目の登壇は一度目より軽く済みます。低い側では向きが逆になります。その場には、いま言ったことがどう着地したかという情報が流れていて、この気質はそれを自分では拾い上げません。
内気は育て方で決まるという説明は、いまも根強く残っています。双子を使った研究の答えは、半分だけ当たりという形でした。この種の性格特性で人が分かれる理由のうち、およそ半分は受け継いだ違いの側に立ち、残りの大半は、同じ家のきょうだいでさえ分け合わない出来事のほうです。どちらの半分も数字を固定はしません。十年たっても、人の並び順はあまり入れ替わりません。
集団の傾きは下向きで、しかも三十のなかでは急なほうです。21歳未満の層から60歳を超える層までで平均はおよそ3.7点下がり、標準偏差の半分に近い幅になります。基準表が並べているのは同じ人の四十年後ではなく、いま別々に生きている年齢の違う人たちです。坂は予定表ではなく向きとして読んでください。
300項目版ではこのファセットを10の文が測り、120項目版では4つが測ります。十のうち六つは、そう思うと答えるほど点が上がる向きで、四つは逆向きです。何にでもうなずく癖がそのまま高い点数にならないのは、この配分のおかげです。回答は1から5、逆転項目は向きを戻してから足します。
アルファは同じ尺度の項目がどれだけ揃っているかを示します。研究では0.70以上が安定とされます。この数値はジョンソンの公開データから自分たちで計算したので、公表値と照らし合わせられます。
ジョンソンの公開データで計算したアルファは、10の文の版で0.83、4つの短縮版で0.72でした。この落ち幅は三十のなかで五本の指に入ります。文そのものは載せていません。先に読むと、答え方のほうが変わるからです。
ほかの人と比べて自分はこのあたりだと思う位置に目印を置いてから、診断へ進んでください。ここは見当の外れやすい場所です。注目の下で人が何を感じているかは、外からは見えないからです。
0はこの診断を受けたほとんどの人より低い、100はほとんどの人より高い、という意味です。
これは予想であって、測定ではありません。診断は、回答を実際の人の基準データと比べます。
重なりますが、同じではありません。ふだん内気と呼ばれるものには二つの尺度が混ざっています。ここで測る注目のこたえ方と、人と一緒にいたいかどうかを測る社交性で、後者との関係はマイナス0.49です。
いいえ。この尺度に診断の閾値はなく、持ちようもありません。専門家が見るのは、避けることで暮らしがどれだけ狭まり、それが何か月続いたかという別の問いです。仕事や人間関係が削られているなら、相談に値します。
測っているのが人づきあいの好みではなく、感情の反応だからです。ただ、この置き場所には無理も見えます。このファセットと自己主張はマイナス0.68で、435組のうちもっとも反対を向いた組でした。
平均で見れば楽になります。男性は21歳未満の29.1点から60歳を超える25.5点へ、女性は30.3点から26.4点へ。ただし並んでいるのは一人を追った記録ではなく、年齢の違う人たちの比較です。
少し違います。反応が起きないだけで、他人の意見に重みがないわけではありません。低い側が手放しているのは、いま何かが外したという自動の合図で、その知らせはたいてい後から人づてに届きます。
アルファは長い版で0.83、短い版で0.72です。どちらも使えますが、短縮版でこれだけ落ちるファセットは多くありません。因子ぜんぶの点数のほうは、短くしてもよく耐えます。